シシ垣と「照 terasu」
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害獣避けか、それとも…?
シシ垣は、主としてイノシシなどの野生動物から農地を守るために設けられた石垣状の施設で、日本各地に分布しています。とくに紀伊半島(和歌山県・奈良県・三重県)や四国山地、九州などに顕著な遺構が残されており、地域の景観や生活史を物語る貴重な文化遺産となっています。
しかし、一部の研究者の間では防塁・境界施設としての機能も指摘されており、特に紀伊半島では、城郭や交通路との位置関係から、軍事的役割を果たしたと考えられる事例も報告されています。
今日では、石垣の一部が文化財や景観資源として保存され、近世農村の暮らしを伝える重要な手がかりとなっています。
当地方に残されたシシ垣の存在の意味を今一度、共に考えていきたい。そんな思いを込め「照 terasu」を開設しました(入場無料)。
高津気に残るシシ垣
Kouzuke
新宮市木ノ川との境まで、約4kmに渡って続くシシ垣群。比較的探索しやすく、人の出入りに利用した「木戸」跡や、イノシシを落とすために掘られた「シシツボ」などが見られます。高津気地区では、住民らがシシ垣周辺の草木を刈ったり、破損箇所を直したりなど「垣普請」を行い、地域全体でシシガキを保全してきました。その労苦と歴史が、住民の生活の一部でもあったシシガキの存在を、現在に残しています。


高地区に残るシシ垣
Taka
山の中腹よりやや上部に位置。一ヶ所尾根を越えているところがあり、かつては「シシツボ」が二ヶ所存在していました。また、尾根を越えたあたりから、等高線に対して直角に下り、50度ほどの傾斜地にも石を組んでいるところもあります。しかし、2011年に発生した「紀伊半島大水害」によって破損した箇所も多く、災害の爪痕が今も大きく残っています。
高森に残るシシ垣
Takamori
石垣は、高い所では2mに達します。海側に向かって支線が延びている箇所もあり、その先では、家や田畑を囲むような形になっています。シシ垣は高森無線中継所付近から北西に向きを変え、南桧杖方面へ。尾根を越えて相賀に至ります。

ようこそ「照 terasu」へ。
当地方(高津気、高地区、高森)のシシ垣のパネルのほか、シシ垣にまつわる資料なども展示しています。
入場無料ですので、お気軽にご来場ください。



アクセス
Access
住所
新宮市徐福2-1-9(JR新宮駅正面、徐福寿司様右隣)
TEL
090-3130-5224(岩﨑)
もしくは、0735-21-2211(ビジネスホテル美郷)
駐車場
新宮駅東市営駐車場「はまゆう」をご利用ください